セレブなのにユニークなお客のJ.Fさん   2022.12.21

あるご婦人から調律のお申し込みをいただきました。

電話で応対したとき、ネットで私のことをいろいろ知られたようで、山登りや能楽をはじめとする舞台劇
への傾倒や修験道の世界にも関係していることをすべてご存じで、お話ししているうちに何かこのお客
様とは親しくなれそうな印象を抱いたのでした。
特に印象深かったのが、ご自宅をカーナビが正確なガイドしてくれないので、その界隈でバカでかい家
が見えたらそこが私の住居です、のお言葉には「バカでかい」という自嘲めいた表現をされることに面
白いお客様だなと思ったのでした。

そしてGoogleマップのナビは正確にこのお客様宅に導いてくれたのですが、ご自宅は本当にでかい!
高級住宅地におけるバカでかい住居という表現から100年近く経った日本建築かと予測していたのが、
少なくとも平成以降に建てられたと思われるようなモダンとクラシックが同居したような建物なのです。
J.Fさんの会社がシンガポールに工場を建設したとき、ラッフルズホテルにベタ惚れして、ミニラッフル
ズホテルみたいなのを建ててしまったそうです。


地下の駐車場に車を招き入れてもらうところでJ.Fさんにお会いしましたが上品でありながら、とても気
さくで率直な貴婦人という印象をいだきました。

玄関に入ったところです。




ピアノ室はこんな感じ。
調度品はピアノだけ。




調律を終えてお茶の接待に案内された部屋。





こんなお家、建てたはいいが、維持費にピーピー言っています、とのJ.Fさんのお言葉でした。

テーブルの上にはマリア・カラスの豪華写真集が。

J.Fさんはオペラも大好きで、ご自身声楽のレッスンも受けたことがあるそうです。

ピアニストのご長女はウイーンの音楽大学に留学し、帰国するときにベーゼンドルファーのセミコンサ
ートを購入したとのこと。
セミコンサートとはフルコンサートグランドピアノより少し寸法が短いピアノ(奥行き240cm)ですが、
現在の新品価格は1700万円!
ご長女の場合は留学時に購入したので税金がかからず、日本で買うのより200万円安かったそうです。

ご長女は結婚後、現在、芦屋市に住んでいるそうで、調律師の私をネット上で見つけてくれたのはそ
のご長女でした。


J.Fさんは能楽にも強く傾倒し、ご自身舞台に立ったことが何度かありますが、ただ、素人のJ.Fさん
以外は皆、プロの能楽関係者。
8人の謡い、笛、小鼓、大鼓などの3人の囃子。そこに面に衣装、そして能楽堂の借り切り。
あまりにも費用がかかるので3回で断念したというJ.Fさんのお言葉に、いったいどのくらいの費用が
要ったのだろうかと思ってしまいました。

J.Fさんは曾祖父のころからの会社を引き継いで頑張ってきたそうですが今は引退し、気楽に好きな
趣味を追求しようとしていたところにコロナ過に遭い、日常をもてあましておられるそうです。

そこで私は「音楽を楽しむ会」のことを話し、用意してきた関連のDVDをお渡ししたところ、とても関心
を持ってくださったので、いつか私たちの集まりに来ていただけるかも知れないという希望をいだい
ております。

ホームページへの画像掲載はJ.Fさんの了解を得ております。。